副校長の読書散歩 #49
Selected by 安積秀幸副校長先生
5月9日の土曜日、親友の訃報の連絡が突然ありました。
一緒に机を並べ遅くまで仕事をし、
何回となく酒を酌み交わし、
仕事の事では激論を交わし、
言いたいことを言える本当の親友の突然の死でした。
おりしも出張中で告別式にもお伺いすることもできませんでした。
先日、ご家族の方も少し落ち着かれたとお聞きしてお伺いしました。
写真に手を合わせて、心の中では「ばかたれぃ!」と叫んでいました。
ご家族とお話をしていて5月18日の「神戸新聞文芸」欄に、
生前投稿した詩が掲載されたことを知り、
そのコピーをいただいてきました。
「一つの終わりは」
一つの終わりは
一つのはじまり
雲がちぎれて
別の雲にくっつくように
浮かんでいればいいのだ
一つの終わりは
一つの始まり
水面に浮かぶ落ち葉が
流れに身をまかすように
浮かんでいればいいのだ
辞世の詩。
必然
石原元秀 著(神戸新聞総合出版センター)
彼は、私と同じ年です。
2011年7月に定年を機に、彼はこの本を出版しました。
その時に送っていただいた本です。
文系の彼と理系の私とは全く感性が異なり、
この詩集をいただいた時には、
「またまた、我々にはわからん詩を書いてからに。」
と言ったことを覚えています。
改めて読んでみますと、あとがきには驚くことが書いてありました。
今こうして五月の若葉に囲まれていると、
この緑の中へ帰ってゆきたいような気がする。
できれば五月の緑に溶けてしまいたい。
(中略)
生きていることと死んでいることはどう違うのだろう。
あまり違いはないような気がする。
生と死はすぐ次の瞬間に入れ替わるのだから。(後略)
この4年後の五月。
五月の緑に溶け込んで、緑の中へ帰って行った親友。
生と死を瞬間に入れ替えて逝ってしまった親友。
やすらかに。
* 「副校長の読書散歩」とは?