兵庫県播磨高等学校の取り組み「読書の学校」の模様を発信中です。

副校長の読書散歩 #42

自然の美――雪の結晶

Selected by 安積秀幸副校長先生


自然の美TOP


身の回りの自然の美しさに心を奪われることがあります。

今の季節、雪の結晶の美しさに
魅せられた人は多いと思います。
また、雪の結晶の写真集などはたくさん刊行され、
その美しさに感動された方も多いのではないでしょうか。

雪の降る夜などに外に出て
黒いコートに落ちてくる雪をよく観察すると
美しい結晶を見ることができます。
虫眼鏡などで拡大すると、さらに美しさを感じることができます。

以前勤務しておりました兵庫県立豊岡高等学校の校章は
雪の結晶にペンをあしらったものです。
その時に雪の結晶についての本を買っていました。
その本も含めて紹介します。

今年の1月1日には、姫路でも雪が降りました。
私は家族と初詣に安志のお稲荷さんと伊和神社に出かけました。
お稲荷さんでの参拝をすませて伊和神社に向かっている途中に
大雪となり警報も出たため、やむなく参拝をせずに帰ってきました。

大寒を過ぎましたが、まだまだ寒い日が続きます。
雪の降る日があるかもしれません。
今、この季節限定の雪、その結晶の美しさに触れてみませんか。







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雪華圖説 正+続〔復刻版〕/小林禎作――雪華図説新考
土井大炊頭利位/小林禎作 著(築地書館



「雪華圖説」の正編と続編は、
第11代古河藩主の土井大炊頭利位(どいおおいのかみとしつら)が
オランダ渡りの顕微鏡を使って雪の結晶を記録したものです。
江戸時代の藩主が調べたと知ったときは驚きでした。

この「雪華圖説」を教えてくださったのは、鳥取のYさんです。
インターネットで検索し、本屋さんに2冊あることを確認しました。
2冊とも取り寄せて、Yさんと1冊ずつ購入しました。

この「雪華圖説」の結晶の図は、
いろいろなものに図案化されて使われているようです。

カメラのなかった時代にていねいに書かれた図には、感心させられます。
昔の人の思いと情熱と根気には感心させられるばかりです。
昔は木版本として出版されていますが、出版の技術にも驚かされます。
著者にもこだわりがあったことと思いますが、
図版などの校正も大変だっただろうと思いながら読みました。

「雪華図説新考」は、小林禎作さんの書かれたものですが、
土井大炊頭利位の話から、雪にまつわる歴史や
土井大炊頭利位の使った顕微鏡の話から
「雪華圖説」の結晶の図が図案化されて
いろいろなところで利用されている話など、
「雪華圖説」にかかわる研究が書かれています。

雪の文化史としても、なかなか興味深い本です。








てんおく


天から送られた手紙 〔写真集 雪の結晶〕
中谷 宇吉郎 著(雪の科学館)



この本は、「中谷宇吉郎 雪の科学館」を訪問した時に買ってきました。
サブタイトルにあるように
雪の結晶の写真が数多く掲載されています。
とても美しい本です。

中谷宇吉郎は第35回で随筆集を紹介しましたが、
北海道大学で雪の結晶を研究されたことで有名です。
ウサギの毛を核にして結晶を人工的に作り、
気温や湿度などによって結晶の形、成長の仕方が違ってくることを
研究されました。

空の高いところで雪ができ始め、
温度や湿度などの環境によって結晶の成長していく過程が違い、
異なった形の雪ができることを、
「雪は天から送られた手紙」と表現した
中谷宇吉郎の詩的感覚にも感心してしまいます。
この本の『天から送られた手紙』というタイトルも
素晴らしいと思いませんか。

中谷宇吉郎 雪の記念館」では、
雪にまつわるいろいろな実験も体験できます。
その中でも特に、氷の板に強い光を当てて、
「チンダル像」という雪の結晶の形の像が
氷の板の中で成長していくのを初めて見た時の驚きは
今でも忘れることはできません。
驚きの連続の科学館です。








snowflake2.jpg


SNOWFLAKE
文:Kenneth Libbrecht/写真:Patricia Rasmussen
(Voyageur Press)



この本は、すべて英語で書かれています。
今では、山と渓谷社から日本語に訳されたものが出版されていますが、
この本を知った時には英語版だけでした。

現在の姫路市図書館香寺分館(旧香寺町図書館)の
館長さんに紹介していただきました。
雪の結晶の写真の美しさに引かれて買ってしまいました。
本屋さんに注文して、一月以上かかって届きました。

英文は適当にフィーリングで読みながら、
写真の美しさにうっとりとしながらページをめくっていきました。
和訳された本を図書館で借りて比較しましたが、
写真の位置が変わっています。
原本のこの本の方が、
雪の結晶の美しさが感じられる配置ではないかと思います。

海外でも同じように雪の美しさに感動された本を読むことは、
大変うれしいことです。


*冒頭の画像を作成するにあたって、下記の方から素材をお借りしました。(参考URL)
 Radek Labancz
 bogenfreund
 Vincent van der Pas
 
by-sa.png




* 「副校長の読書散歩」とは?