兵庫県播磨高等学校の取り組み「読書の学校」の模様を発信中です。

副校長の読書散歩 #50

好みの本を紹介

Selected by 安積秀幸副校長先生


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兵庫県播磨高等学校では読書の学校づくりの一環として
朝の10分間読書を行っております。
学校の生徒や職員に読んでもらいたい
本の紹介から始まった「副校長の読書散歩」も
第50回になりました。
鳥取のYさんや友人の国語の先生をはじめ、
薦められた本はたくさんありますが、
そのうちの気に入った本、面白かった本について
思いつくままに書いてきました。

大学の恩師の米山徹先生には、「なかなか幅広くてよろしい。」
と褒めていただきました。思いもよらない方から
「読んでいますよ。」
と声をかけていただくこともありました。

読書感想文を書くのが大嫌いの私が、
つれづれなるままに読み散らした本の話です。
少しでも本を読んでみようという気に
なっていただけたらと思っています。

今回は、様々な本を紹介されている本を2冊紹介しましょう。





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戦争よりも本がいい
池内紀 著(講談社



この本は、新聞の書評欄に紹介され、
著者が姫路出身の池内紀先生でもあり、
また、書名が『戦争よりも本がいい』と
「そりゃそうだ」と思ったことがきっかけで、
岩崎東里先生に「この本読んでみたい。」と言ったのです。

この本のあとがきには、

 「書きはじめのころは、自分の仕事場の本棚から本を選んだ。
 これは簡単だった。なじみの本であって、
 なじみの店のようによく知っている。(中略)
 つぎには、わが家のあちこちの書棚から選んだ。
 (中略)そのつぎには、書棚の奥に隠れている本から選んだ。
 (中略)その間にも出かけるたびに、これと思う本を買ってきた。
 (中略)ここに収めた百二十九冊は、
 そんなふうにして選ばれた本たちである。」

とあります。

1冊につき3ページ。それぞれの本の紹介の後に書かれている
「もうひとこと」の小文がまたまたすばらしい。
紹介文を読み終えてこの「もうひとこと」を読むと、
「この本いいなあ。読んでみたいなあ」と背中を押されます。

読み始めて、手元の紙に「いいなあ、読んでみたいなあ」と
思った本をメモし始めました。
見る見るうちにいっぱいになり、ノートに書くことにしました。

『みみず』、『新編 薫響集』、『しぶらの里』、
『餅博物誌』、『戦争と気象』、
『偉人暦』、『味覚極楽』、『食道楽』、『銀座』、
『金谷上人行状記』、『冗談十年』……。

次々と出てきます。うれしいやら困ったやら。

紹介されている本で、
私が読んでみたことのあるのは1冊だけでした。
本当に池内紀先生の書棚を覗いてみたいと思った1冊です。








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柔らかな犀の角 山粼努の読書日記
山粼努 著(文藝春秋



 「犀の角は堅いと思っていましたが、インドサイの角は、
 実はぶよぶよで闘争の武器にはならないそうです。」

その解説から始まっています。

この本を紹介いただいたのは、
以前登場いただいていたアピックスの鈴木朝子さんです。
私がこの「副校長の読書散歩」を書かせていただいていることから、
「参考にしてください。」と貸していただいたことがきっかけです。
だいぶ前にお借りしたのですが、
みをつくし料理帖」シリーズに熱中してしまったことで、
ポーランド研修旅行に持って行ったものの読まずに帰ってきました。
結局長い間お借りすることになってしまいました。

さすがに俳優をされている方の視点やら
人とのつながりは素晴らしく、感心しながら拝読しました。
最初に索引を見て、何よりもそのページ数に驚きました。
ゆっくり見ますと、「書名索引」、「人名索引」、
「映画、演劇、テレビ(タイトル)索引」、
「その他索引」と分けてありました。
ユニークな索引と思われませんか。

中身も面白く、特に最後の「臨終図巻」で出てきます
山田風太郎の『人間臨終図巻』が面白く感じました。
いろいろな方の臨終を描いているようです。
山田風太郎は第26回でも紹介しましたが、
『人間臨終図巻』は旧香寺町図書館で
山田風太郎に凝っていた時に
読み残している1冊です。
その当時は「臨終なんて縁起でもない」と思っていました。
しかし、山粼さんの紹介で読んでみる気になりました。





* 「副校長の読書散歩」とは?