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兵庫県播磨高等学校の取り組み「読書の学校」の模様を発信中です。

副校長の読書散歩 #32

副校長の読書散歩

読んで納得してしまった本
(二つのパターン)

Selected by 安積秀幸副校長先生

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本を読んでいて、
著者の方々が書かれていることにすぐに納得してしまいます。
しかし、その納得の仕方が二通りあります。

ひとつは、
読んでいるときは「ふんふん。なるほど。」と思っているのですが、
読み終えてから「えー。ちょっと違うよな。」と感じる本です。
言い方が悪いかもしれませんが「どこで騙されてしまったんだろう。」と
思うことがときどきあります。このような書き方をすると、
「もっとちゃんと読みなさい。」とお叱りを受けそうです。

一方で、読んでしまった後でも、「素直に納得。」と思える本に出合います。

新聞に紹介されていた本の中から、
違ったパターンで妙に納得をしてしまった本を取り上げてみました。








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だから日本はズレている
古市憲寿 著(新潮新書



この本を読んでみようかなと思ったのは、平成26年6月22日の神戸新聞
読書欄の「著者に聞く」で取り上げられていたからです。
スマートフォンと連動し『扉の開閉数が把握できる冷蔵庫』や
『洗剤の適量が分かる洗濯機』など企業の論理で生まれた高価格の家電製品は
だれが欲しがるのか。」と書かれており、
「そりゃそうだ。」と妙に納得してしまったことからです。

本文を読んでいて、「誤解されない話し方、炎上しない答え方」をするには、

 (1) ネガティブな話はしない
 (2) 差別的な発言はしない
 (3) 犯罪を肯定するようなことは言わない
 (4) 批判は慎重に
 (5) 話し相手を錯覚しない
 (6) 他人に関わるコメントは根拠と説明を十分に

というアドバイスが書かれています。
これは『誤解されない話し方、炎上しない答え方』(著者:山口明雄氏)
というタイトルの本から、古市憲寿さんが引用された箇所です。
「そりゃそうだ」と思われませんか?

内田樹さんの著書を読んだ時にも感じることなんですが、
妙に納得してしまいます。
しかし、読み終えてから「でも・・・・・」と思ってしまう自分がいます。
論理の組み立ての流れの途中で、
ちょっと引っかかったところを、
別の流れに持っていくと別の結論が出るという当たり前のことで、
読んでいる途中で「でも・・・・・」と感じたことに
明確に自分の考えを言い出せないままに読み進んでいる結果なんでしょう。
古市憲寿さんと内田樹さんとは、流れに共通したものを感じてしまいます。
この本の最後に書かれている「このままでは『2040年の日本』はこうなる」で
特に感じました。








百歳日記


百歳日記
まど・みちお 著(NHK出版生活人新書)



第29回にまど・みちおさんの「?」と「!」のことを話しました。
平成26年4月27日の神戸新聞「HONライン倶楽部」には
『百歳日記』が紹介されていました。
気になっていた本ですが、先日学校帰りに購入しました。

第1章のタイトルが「『?』と『!』」で、36ページの7つ目の話に、
同じタイトルの「『?』と『!』」の話が書かれています。
中村桂子さんの紹介された文でした。

いろいろと印象に残った文がたくさんありますが、
一番印象に残っているのが「おかあさん」。
お父さんの仕事の関係で、台湾で生活している家族と別れて、
長い間おじいさんと徳山で暮らしておられたようです。
ようやく家族と一緒に住めるようになった台湾での生活の話にあわせて、
私たちがよく知っている「ぞうさん」の詩への思いが書かれています。


 昔、「ぞうさん」という歌を作詞しました。
 「ぞうさん/ぞうさん/おはなが ながいのね
  /そうよ/かあさんも ながいのよ」
 という歌ですが、あれは、
 自分がいちばん好きなお母さんを誇りに思う詩なのです。
 「世の中にこれほど鼻の長いものはいない。
  世界にたったひとりのお母さんと、ぼくだけが長いんだ」
 ということを、その子ども象自身が、
 それはそれは誇りをもって言うことができたと思うのであります。
 不思議なことに、あの歌はたくさんの人に歌われるようになりました。
 いまでも子どもたちに歌われとるということはとてもうれしいことです。


と、百歳のまど・みちおさんは言っておられます。
長く離れて暮らしていたお母さんの優しさに触れ、
お母さんを誇りに思っておられる
「小象のまど・みちおさん」の気持ちがあふれた
「ぞうさん」の歌を、久しぶりに口ずさんでみました。

最初から最後まで、素直に感心しながら読んでしまいました。
あたたかな気持ちになれる素晴らしい本です。是非読んでください。






* 「副校長の読書散歩」とは?