兵庫県播磨高等学校の取り組み「読書の学校」の模様を発信中です。

副校長の読書散歩 #28

衝撃を受けた本

Selected by 安積秀幸副校長先生

衝撃を受けた本?


本を読んだことをきっかけに話がどんどん広がり、新たな出会いができます。
このことが読書の楽しみの一つです。

出会った方々と話をしているときに何げなく話をされた中に
思いがけない本との出会いが多いように思います。

そのような出会いを今までも紹介してきましたが、
いろいろなジャンルの本を読んでいますと、
自分が今まで考えてみなかったことに触れ、
大きな衝撃を受けることがあります。

また、自分と同じようなことをされていることに
意を強くすることもあります。

人との出会い、本との出会い。
生活の中の小さな一コマかもしれませんが、
その一コマが積み重なると大きな財産になっています。
なかなか楽しくうれしいものです。




松丸本舗主義

松丸本舗主義
松岡正剛α 著(青幻社)



この本を読むことになったきっかけは、
このブログでお世話になっている鈴木朝子さんから紹介されたことです。

第13回の「白川静さんの3冊」で、
松岡正剛さんが書かれた平凡社新書白川静』を紹介したことから、
この本を教えていただきました。

東京駅近くの丸善の一角に開店した「松丸本舗」。
松岡さんの思いの詰まった書店の顛末記です。
残念ながら私は訪問しておりませんが、
この本を読んでから
このような本屋さんがあれば楽しいだろうなとしみじみ思います。

500ページを超える本ですが、読んでいると一つ一つの話に、
「ふーん」と感心してしまいます。
著者名にαが付けられていることも、またおもしろいと思いました。

第?章に「各界から寄せられたメッセージ」が紹介されています。
皆さん異口同音に松丸本舗のすばらしさと
閉店の残念な気持ちを綴っておられます。
読んでいて、一つを除いて同じようなメッセージに、
少しうんざりしたところもあります。
松丸本舗に出会ってから
自分はどう変わったかというところが聞きたいと私は思います。

第?章、第?章と松岡さんの思いがいっぱい詰まっています。
私はこの松岡さんの思いが詰まりすぎていて、
「これでもか、これでもか」と追っかけられている気分でした。
一度読んだだけで、ほとんど理解できていません。
しばらくしてから、もう一度ゆっくりと読むことになる、
そんな気がしています。

他人の本棚が気になる。覗いてみたいという願望。
本は購入されて、読まれてからは本棚に死蔵、「つんどく」されて死蔵。
いろいろのパターンがありますが、活用方法は?考えさせられました。

読んでいる途中に、岩崎東里先生にも紹介しました。
紹介いただいた鈴木さんを交えて三人で本のことについて話ができたら、
さぞ楽しいひと時を過ごすことができるだろうなと思っています。
鈴木さんよろしくお願いします。






100の基本

100の基本
松浦 弥太郎 著(マガジンハウス)



鳥取のYさんとお会いしたときに、先輩方からお教えいただいた一言を
パワーポイントに整理して、時々研修の時に活用している話をしました。
その時に、「それなら是非に」と薦められたのがこの本です。
松浦弥太郎さんが日頃気を付けている100のことを書かれています。

まえがきにあたる「松浦弥太郎の『100の基本』とは」に
  
 日々、仕事や暮らしをしていく中で、
 いつも人やものごとに好奇心を持って、
 それらを見つめていると、はっとするような、ささやかな感動や発見、
 思いつきとか、すてきだなあと思うようなことに気づくことが多いのです。
 そんな時はなんだか宝ものを拾ったようなうれしい気持ちになり、
 その時のことをメモに残しておくのです。

と書いておられます。全く同感です。
いろいろな方と話をしていますと、「なるほど」と感じることがあります。
そんな時私は、メモをして、パワーポイントで整理しておきます。
まだまだ数は100には届きませんが、
時々コンピュータを立ち上げ見ています。
教えていただいたその時の情景やその時の思いが浮かびます。

平成26年4月21日の神戸新聞「あ・ん」というコラムに
編集委員の田中信明さんが「教師を支えた言葉」として、
兵庫教育大学大学院で「学校現場で奮闘する教師が、
子どもや親と向き合う中で支えにしてきた『名言』」を
集める試みをしていることが書かれていました。
同じようなことを考えられる方がいらっしゃることにも驚いています。

教えをいただいた一言をまとめている話をしますと、
「そのまとめられたものをいただけませんか。」
と言われることがありますが、
「ご自分で作られたらどうでしょうか。」とお答えすることにしています。
ひと言ひと言、お会いした方々の心や
教えていただいた方々への感謝の思いを大切に、
自分なりの「100の基本」を作ることが大切だと思います。

この本を学校の図書館にと思って事務所に持って行ったところ、
事務所で仕事をされていた福田綾さんから
「先に読ませてもらっていいですか。」と
うれしい一言を聞くことができました。






日本でいちばん大切にしたい会社

日本でいちばん大切にしたい会社
坂本 光司著(あさ出版



図書室で岩崎東里先生に
「何かおもしろい本ある?お薦めの本は?」と
お聞きした時に「一番のお薦めです。」と言って手渡された本です。
お借りした本は、岩崎先生ご自身の本でした。

「はじめに」では、
他力本願の会社「景気や政策が悪い」「業種・業態が悪い」
「規模が小さい」「ロケーションが悪い」「大企業・大型店が悪い」と
外部環境が悪いと言って言い訳をしている会社はだめだと言っています。

一方
「社員とその家族を幸せにする」「外注先・下請企業の社員を幸せにする」
「顧客を幸せにする」「地域社会を幸せにし、活性化させる」
「自然に生まれる株主の幸せ」と
会社を構成し取り巻く五人に使命と責任を果たす
会社でなければならないと言われています。
その使命と責任を果たしている会社のうち14社を、タイトルにある、
「日本でいちばん大切にしたい会社」として紹介されています。

企業紹介の中で、「win-winの関係」という言葉がよく出てきました。
生徒の皆さんが授業で実践している「7つの習慣J」でも出てきます。
著者坂本さんも当然「7つの習慣」をよく御存じで、
引用されたのではないかと思いました。

岩崎先生の紹介された意図と
おそらく違った感じを受けながら読みました。
確かに、責任を外に転嫁していては何も解決できない
ということを教えられた本です。
わかってはいるのですが、なかなか実行できないのが本音のようです。






* 「副校長の読書散歩」とは?