兵庫県播磨高等学校の取り組み「読書の学校」の模様を発信中です。

副校長の読書散歩 #25

書名にひかれて読み始めてしまった本

Selected by 安積秀幸副校長先生

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新聞広告などに出ている本や、本屋さんに並ぶ本を眺めていると
書名が気になる本があります。
今回紹介する本もそのような本です。
書名とは違った展開に驚いてしまいます。
展開の仕方によっては、「え〜!そんなことはありえないだろう。」と
思ってしまうことがよくあります。
しかし、「なるほど、そのとおり。」と思ってしまう一言が
必ずと言っていいほど出てきます。
書名は読んでもらうために工夫がなされていることを感じます。



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小商いのすすめ
平川 克美 著(ミシマ社)



この本は、鳥取のYさんの紹介で読み始めました。
いつも、今までの私と全く違ったジャンルのことを紹介していただきます。
またそれが「ふ〜ん。」とうなってしまうのです。
彼の幅広い知識にはいつも感心させられますし、また感謝です。
どのようにしていつも面白いことを見つけることができるのか、
アンテナの高さに感心してしまいます。
紹介していただいた時には、
「この本是非読んでください。」と言われただけなんです。
タイトルを聞いて、「商売を始める気はないのに。」と思いました。
ところがところが、何と。まえがきの1ページ目に、
  
 本書には「小商いのすすめ」というタイトルが付いていますが、
 実は「小商い」そのものに関してはほとんど論じられていません。
 しかし、本書はまぎれもなく「小商い」についての考察なのです。
 いや、正確には「小商い」を商う姿勢で
 書かれた本だというべきかもしれません。

と書かれています。

また、東日本大震災原子力発電所の事故についても、

 あってはならないという当為と、ありえないだろうという希望とを
 どこかで取り違えてしまっていたわけです。
 あるかもしれないと思っていたことと、
 ありえないだろうと思っていたことが
 同時に起きてしまったということです。

に続いて、
 
 この二種類の災厄が同時に起きたことで、
 この間のわたしたちの思考方法そのものが
 問い直されなければならなくなりました。

と書かれています。全く同感です。

私は本に線を引いたり、書き込みをするのはあまり好きではありません。
時々付箋を貼るのですが、最初読んだ時から時間がたった今、
改めてこの本を見ますと、本全体に付箋が貼ってありました。
いろいろと考えさせられた1冊でした。





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上司は思いつきでものを言う
橋本 治 著(集英社文庫)



著者は、大学在学中に書いた
「とめてくれるなおっかさん 背中の銀杏が泣いている 男東大どこへ行く」
というコピーで有名な方です。

学校現場を離れて教育行政の仕事をしていた時に出会った本です。
タイトル通りと思われることに悩まされたこともありました。
また、逆に上司と言える立場になった時に、
いろいろと仕事の話をしているときに、
突然ある考えが浮かんできて、
「このようにやってみたらどう?」と言ってしまったこともあります。
まさに書名の「上司は思いつきでものを言う」を実践してしまった自分を
発見することもありました。

一般にはビジネス書と言われるジャンルに属する本だと思いますが、
著者の分析がなかなか面白い本です。
書名とは違って、「会社」と「現場」の関係をじっくりと考えさせられます。
営業担当者などの外部と接する第一線である「現場」と、
第一線を離れた上司の「会社組織」との考え方等の違いを
「そうだなあ。」と感じました。

この本は「いまどきこんな会社ないだろう。」という
突拍子もない会社が例になって話が展開されていきます。
生徒の皆さんも将来就職したときには一度読んでみてください。
上司との付き合い方や話し方が変わってくるかもしれませんよ。




* 「副校長の読書散歩」とは?