兵庫県播磨高等学校の取り組み「読書の学校」の模様を発信中です。

副校長の読書散歩 #20

      

印象に残っているいただいた本

selected by 安積秀幸副校長先生

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学校の図書館に、集英社から100冊の文庫本をいただいたり
また、新聞で紹介されていた募集に応募して
50冊の文春文庫をいただいたりしています。

私も今年、いろいろと本を購入したり、
また、いただいたりしました。
知人から頂戴した時には、
必ずサインをお願いすることにしています。
いただいた本の中から印象に残ったものを紹介します。




ひょうご文学散歩

『ひょうご文学散歩』
廣岡 徹 著(神戸新聞総合出版センター)



著者の廣岡徹先生とは20年以上のお付き合い。
このたび大学教授を退官されるにあたって出版されたのがこの本です。

前に書かれた『兵庫散歩「文学を訪ねて」』もいただき、
学校の図書室に寄贈しています。
先日、校長先生を訪ねてこられて
「学校の図書室に」と生徒の皆さんへのメッセージとともに、
2冊寄贈いただきました。
私の頂戴した本には、サインと素晴らしい一言が書かれていました。

サイン


淡路、豊岡と単身赴任をしてきた私は、
心当たりのある地名や人の名前を拝見し、
懐かしく思い出しながら読ませていただきました。
この本から、また新しい読書散歩が拡がっていくような気がしています。
兵庫県の各地が登場する文学作品について、
先生ご自身が撮影された写真とともに、思いを綴られています。

今回、この本から教えていただいたなかで印象深いのが、
堀辰雄の「旅の絵」。
早速、岩崎東里先生に話をして、
新潮日本文学16の堀辰雄集をお借りしました。

新潮日本文学

サブタイトルに「竹中郁に」と書かれています。

神戸駅で降車した作者は、元町通りの珈琲店から
須磨に住んでいる友人T君に電話を入れる。
そのT君というのが詩人の竹中郁
堀辰雄の友人である詩人竹中郁は、本校の校歌の作詞者。
驚きの1ページでした。








先祖の話mini

『新訂 先祖の話』
柳田國男 著(石文社)



今回の「新訂 先祖の話」を読むきっかけになったのは、
8月16日の神戸新聞で、「日本石材産業協会兵庫県支部が
柳田國男の『先祖の話』を先着70名の方に無料進呈します。」
という記事を読んだことです。

早速に申し込みをして、送っていただくことができました。
送り状には、
「新聞に掲載された翌日には427通、
その後1000通を超える申し込みがあり、
初日の申込者に抽選で送ることになった。」と書かれていました。

柳田國男と言えば「遠野物語」などの著書で
知っておられる方も多いと思います。

遠野物語

私も以前、柳田國男の生家に行ったことがありますが、
福崎町生まれの民俗学者として有名です。

先祖という言葉には2通りの意味があることから始まり、
歳徳神(としとくじん)、
春の初めに「明木の方」から、われわれの家を
一つひとつ訪れたまう「年の神」の「お正月様」は、
吉方(えほう)との関係があること。

暮れの魂祭は、徒然草には
「晦日(つごもり)の夜いたう暗きに、
・・・・・亡き人の来る夜とて、魂祭(たままつ)るわざは
此頃(このごろ)都には無きを、
東の方には猶することにてありしこと哀(あは)れなりしか。」
と書かれているように、鎌倉末期には京都ではすたれていたこと。

お盆や正月には、親戚が集まって、ということも
少なくなったかもしれませんが、
人と人のつながりについて、日本の昔から行われていた祭に触れながら
話が進んでいきます。

私たち日本人が忘れかけていることを、思い起こさせてくれた一冊でした。



* 「副校長の読書散歩」とは?