副校長の読書散歩 #18
集英社からいただいた文庫から
selected by 安積秀幸副校長先生
通勤電車の中では、しばしば、吊革につかまりながら
左手に本、右手に吊革という姿勢で読んでいますと、
どうも栞が邪魔になります。
特に文庫本では、最初から挟み込んである栞、
幅が広ければ広いほどページが起き上がってきます。
しばらくするとページを抑えている親指と小指が
痛くなってきます。
指が痛くならない栞、いろいろと探し回りましたが、結局、
プラスチックの薄い荷造り紐です。
ゴミとして捨てられていますが、
長さ10cm位に切って小さな幅の板にして使っています。
安上がりで、エコで、便利ですねえ。
おかげで指も痛くなることなく本を読むことができます。
ここしばらく学校の図書室で借りた
畠中恵さんのシリーズも読み終え、
その勢いで時代小説を読み続けています。
集英社から寄贈いただいた100冊の文庫から
心あたたまる時代小説をとりあげました。
『狸穴あいあい坂』
諸田 玲子 著(集英社文庫)
前にも書きましたが、
江戸時代の時代小説は本当に、
人への思いやりがにじみ出ています。
この小説は、親が持ってくる縁談を避けるため、
元火盗改*1の厳格な祖父と暮らしている娘が主人公です。
元火盗改と「犬猿の仲」の町方の同心*2にほのかな思いを寄せますが、
周りの人々の思いやりのあるかかわり方から
何とも言えないあたたかさが伝わってきます。
10月の下旬に、ポーランドのナザレ校から
2名の先生と6名の生徒さんが来られました。
ナザレ校の校長先生のあいさつや動作には
いつもあたたかさが感じられました。
そう感じたことをお話しましたところ、
「ひとことひとことに心を込めています。」と言われました。
行動やことばににじみ出てくる心、
本校の教養で目指しているところに
共通していると思います。
*1 火盗改:
「火付盗賊改方(ひつけとうぞくあらためがた)」を略した言葉です。
江戸幕府において、放火犯や盗賊の逮捕・取り締まりを行った仕事のことをいいます。