兵庫県播磨高等学校の取り組み「読書の学校」の模様を発信中です。

副校長の読書散歩 #11

       

科学を通して人を知ることができる文庫2冊

selected by 安積秀幸副校長先生

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私は、たいがい本を読むときには、
「あとがき(または解説)」から読み始めます。
ですから、あとがき→はじめに→本文→あとがきの順になります。

あとがきには、その本の著者の思いが切々と綴られています。
その著者の思いを頭の片隅に置きながら読み進みますと、
「ふ〜ん。そーなんか。」と感じるところがたくさんあります。
2回目に読む「あとがき」も最初に読んだ時と違った面白さがあります。
この2冊も、このように感じながら読みました。

科学に関する本というだけで毛嫌いされる方も多いと思いますが、
この2冊はなかなか違った観点から書かれています。
科学を切り口にしながら、本当は人に関して書かれている興味深い本です。
是非、「あとがき」から読んでみて下さい。





科学の扉


『科学の扉をノックする』 
小川洋子 著(集英社文庫)



この本は、6月12日の「高校生のための文化講演会」の時に
集英社から寄贈された文庫100冊の内の一冊です。

小川洋子さんの小説では「博士の愛した数式」を初めて読みましたが、
数学を題材にされた小説家が、
科学をどのように感じてどう表現されているのかと
興味を感じて読み始めました。

7つの分野の方々が紹介されていますが、「あとがき」には
「取材を終え私が一番に思うのは、
 皆さんが奉仕の心を持っておられたことです。
 目に見えない何か、自分より偉大な何かに対し、
 戦いを挑むのではなく、謙虚な心で奉仕する。
 その心がいつも私を感動させました。」と書いておられます。
「目に見えない何か」を
サムシング・グレート」と呼ばれています。
宇宙、鉱物、DNA、スプリング8、粘菌、骨格標本、トレーニングコーチ。

DNAの話の一部は7月20日の第一学期終業式の式辞にも紹介しました。
心の持ち方ひとつで、あなたの体の中のDNAが
すばらしいスイッチをオンにしてくれます。
式辞で約束しましたオカリナは、
DNAのおかげで完成しましたことを報告しておきます。





女子中学生の小さな大発見


『女子中学生の小さな大発見』
清 邦彦 著 (新潮文庫



専門が同じ理科の清先生が書かれた本であり、
タイトルがおもしろいと感じて、平成14年、発刊されてすぐに購入しました。

表紙には「Hさんは168gのスジコの中にイクラの粒が
いくつ入っているか数えました。1505個ありました。」など
「えっ!」と感じる「自由研究」が紹介されています。
自由研究は、長いレポートでなくてもいい、
別に結論が出ていなくてもいい、
なぜだろうと疑問に思うだけでもいい、
「すごいっ」と感動するだけでもいい
と清先生は言っておられます。
全く同感です。

読んでいて驚いたり、笑ったり、感心したりの連続です。
原稿を書いている今は夏休みです。
夏休みと言えば、
「自由研究」に皆さんも何をしようかと悩みませんでしたか?

このような新鮮な発想を、私たち教員、いやいや大人が
つぶしてしまってはいませんか。




* 「副校長の読書散歩」とは?