兵庫県播磨高等学校の取り組み「読書の学校」の模様を発信中です。

副校長の読書散歩 #9

       

古代中国文化に関する二冊

selected by 安積秀幸副校長先生



古代中国に関する二冊



前回の読書散歩で水滸伝を紹介しました。
中学校に入学したころに吉川英治三国志三巻を
寝るのも忘れて読みふけったことを思い出します。

三国志水滸伝西遊記など中国の長編小説には
多くの妖怪が出てきます。
その妖怪について書かれた本を紹介します。

中国の五大小説に関する本、妖怪に関する本を読まれてから、
また中国の長編小説を読まれるとより面白さが増し、
新しい発見をされること請け合いです。





中国の五大小説・上   中国の五大小説・下




『中国の五大小説(上)三国志演義西遊記
『中国の五大小説(下)水滸伝金瓶梅紅楼夢』 
井波律子 著(岩波新書



前回紹介しました宮崎市定著『水滸伝』を読んで、
再度 水滸伝にはまっていました。

宮崎市定水滸伝』で紹介されたいろいろな水滸伝
比較しながら読み漁り、
訳者それぞれのリズムの違いを楽しんでいました。
馬琴の訳はリズム感あふれる本です。

今回紹介する本は、その時に出会った本です。
帰宅途中の電車待ちの時間に
ふらっと立ち寄った書店で見つけました。

中国の五大小説とは、
三国志演義西遊記水滸伝金瓶梅紅楼夢です。
この本を読んで、水滸伝金瓶梅紅楼夢
深いつながりがあることを初めて知りました。

金瓶梅水滸伝の挿話をそっくり踏まえた形で
物語を展開させているということ、
また、紅楼夢金瓶梅を踏み台にして
内容や表現を新たにして物語が展開されているということです。

この五大小説を別々に読まれた方も多いと思います。
この本を読まれてから、それぞれの小説を読まれたら、
また新しい発見が見つかると思います。






中国の妖怪


『中国の妖怪』
中野美代子 著 (岩波新書



この本を読むきっかけは、
前に勤めていた学校で最後の授業をしたことです。
物理に関係した内容ということで、
「光の屈折と虹」について話をしました。

話をしながらふと疑問に思ったのが、
「『虹』という漢字は、なぜ虫偏なのか?」
ということでした。

最後の授業を聞いておられた国語の先生にこの質問をしました。
しばらくして、
その先生から『故事類苑』のコピーをいただき、
説文解字』等の原典を調べ、
どうやら龍に関係があるらしいということにたどりつきました。

その時に、時間つぶしに書店に立ち寄った際に見つけました。
五爪の龍は中国皇帝の象徴、
龍に関係のある饕餮文(とうてつもん)の話など、
なかなか興味が尽きない展開です。
本当によく調べられたことと感心しながら読みました。

ある人と龍の話をしていた時、
龍には九匹の子どもがいる。その第一子が、「贔屓」と言い、
形は亀に似ていて重い物を背負うのが好きだ
と教えていただきました。

松江藩松平家菩提寺である月照寺
巨大亀型の寿蔵碑が夜な夜な松江を徘徊すると
小泉八雲の随筆にあります。

淡路の平見神社にも鳥居を背負った石の亀があります。

贔屓

贔屓2

両方とも亀と言いながら耳がついています。
この亀は「贔屓」ではないかと勝手に思っています。



* 「副校長の読書散歩」とは?