副校長の読書散歩 #3
読み物としての図鑑
selected by 安積秀幸副校長先生
一般的に図鑑は、
わからない植物や昆虫などの名前を調べるために使いますが、
時々「図鑑を読んでみよう」と紹介されることがあります。
最近、読んで楽しい、見て楽しい、
そんな図鑑に出会いましたので紹介します。
ぱらぱらとページをめくり、眺めるだけでおも
楽しいひと時を過ごすことができると思います。
一度 手に取ってみてください。
『ネイチャーウォッチングガイドブック 海藻』神谷充伸 監修
写真:阿部秀樹 / おしば(標本制作):野田三千代
この図鑑は、
平成24年12月23日の朝日新聞読書欄で、
書評委員の荒俣宏さんが
一番のお薦めとして紹介されたものです。
この図鑑の紹介をご覧になって
『”おしば”って何?』
と思われた方も多いでしょう。
”おしば”を担当された野田三千代さんは、
海藻おしば協会会長として、漂着海藻を使って
「海藻の美しさを糸口とした海の環境保全活動」
に取り組み、全国に広げておられます。
その実績が認められ、この2月3日に
「日本自然保護協会第12回沼田眞賞」を受賞されました。
私は、野田さんに、
長年にわたりご指導をいただいています。
本校図書館の”海藻おしば”の栞や著書も、
野田さんから頂戴したものです。
この図鑑には、素晴らしい色彩の海藻写真や
野田さん作成の”海藻おしば”、
あわせて海藻にまつわる文化史も紹介されており、
今までに類を見ない斬新で充実した図鑑となっています。
大変興味深く読ませていただきました。
[ 「海藻おしば」とは]
従来の標本作成法を改良・工夫して
海藻の色と形を美しく表現した制作法に変えたものです。
海藻ならではのカラフルでユニークな造形美を楽しめる。
【ユカリ】
成長するにつれて枝が二本ずつ伸び、扇状となる。
海中では紫色に光るため、この名前がつけられた。
【ウスバアオノリ】
船着き場などに生息。
磯の香りが強く、いわゆる「青海苔」のひとつとして食用される。
【アミジグサ】
平らな帯状で、末広がりに成長する。
名前の由来は、透かすと網目模様が見えることから。
参考:海藻おしば協会
『冬芽ハンドブック』
解説:広沢 毅 / 写真:林 将之
私は植物が好きで、猫の額ほどの庭にも
いろいろな植物を植えています。
冬になるとほとんどの植物が枯れたり、
葉を落としたりしてさみしくなります。
ある時、葉を落とした後に
春を待つ冬芽に気がつきました。
それぞれの木一つ一つ違っていて、
かわいい表情におどろき、
じっくり見入るようになりました。
アジサイは葉の落ちた後の葉痕が、
まるで新しい芽を
両手で受け止めているように見えます。
ウメは葉痕のすぐ上に
小さな葉芽と大きな花芽がついています。
モモは暖かそうな白い産毛に包まれた芽が
三つほどついています。
この図鑑が新聞の読書欄で紹介されていたのを読んで、
早速 購入しました。
願わくは、葉痕や芽の写真を
もっと大きくクローズアップで
印刷してほしいと思いながら読みました。
この図鑑を手に、視点を変えて
公園や庭の木の冬芽を
観察されたらいかがでしょうか。
きっと新しい楽しみが増えると思います。
* 「副校長の読書散歩」とは?